乳がん関連の報告・取材 --- 002 Dr.濱岡のASCO取材

  ASCO 2006 速報 6月3日 6月4日 6月5日 6月6日

現地取材:濱岡 剛(聖路加国際病院ブレストセンター)

 

■6月3日

 

 
     
 
     

 

Clinical science symposium

Lapatinib in Trastuzumab Resistant Breast Cancer.

221人のTrastuzumab抵抗性の再発乳癌患者に対するCapecitabine単独投与に比較しLapatinibを加えることで、median TTPを有意に延長する(HR 0.51, p=0.00016)ことが報告された。(Allegheny General Hospital, Dr. Geyer)

Phase II trial of Lapatinib for brain metastases in patients with HER2 + breast cancer.

現在まで脳転移に対しての薬物治療には期待することが難しかったが、今回Lapatinibにより効果を認めた報告がなされた。39例のHer2陽性乳癌のCNS転移を認める患者に対してLapatinibは2例にPR(5%)を認めた。症例数が少なく、現時点で効果を確約するものではないが、今後の選択肢として期待されている。(#503 Dana-Farber Cancer Institute, Boston MA Dr. Lin, Dr. Weiner)

EGF103009, a phase II trial of lapatinib monotherapy in patients with relapsed/refractory inflammatory beast cancer (IBC): Clinical activity and biologic predictors of response.

34人の炎症性乳癌に対して、Lapatinibを1st lineで単独投与したところ、Her1 positive, Her 2 negativeの患者群(6例)では効果が認められなかったが、Her2 positiveの患者群では8/11(72%)でClinical responseを認めた。(#502 Dr. Spector)

 

Poster Discussion

ARNO 95 study updated data:

Survival benefit of switching to Anastrozole after 2 years' treatment with Tamoxifen versus continued Tamoxifen therapy.
ホルモン受容体陽性閉経後乳癌の術後薬物治療として、本来5年服用していたTamoxifenから、2年Tamoxifenを服用した後に残りの3年をAnastrozoleにスイッチする方法が統計学的に有意に無病再発期間および生存期間を下げることが示された。489人の患者をTamoxifen継続群、Anastrozoleへのスイッチ群に無作為に割り付け、スイッチ群が明らかに生存率に優れていたという報告である。(HR 0.53, p=0.045, 3 yrs)Tamoxifenは子宮内膜への、そしてAnastrozoleは骨粗鬆関係の有害事象が認められたが、全体ではAnastrozoleが優れている結果であった。(# 547 ARNO 95 Dr. Kaufmann)

 

MA17 updated data:

Updated analysis of NCIC CTG MA.17 (Letrozole vs. placebo to Letrozole vs. placebo) post unblinding.
2268人のホルモン受容体陽性閉経後乳癌の術後薬物治療として、5年のTamoxifen終了後に継続して5年間Letrozoleを投与する有益性を調べる臨床試験(MA17)のアップデートがなされた。これはLetrozoleとPlaceboに無作為に割り付け、無病再発期間、現疾患の無病再発、生存率を比較する試験であるが、30ヶ月の時点でLetrozole群が明らかによいという結果がでたのでUnblindとなり、以後患者は無治療かPlacebo群でもLetrozoleが投与できることとなっている。現在、無治療群と、Letrozole投与群をひき続き比較している。結果は、治療が自由に選べるということから、Letrozoleを投与されている患者群は無治療群に比べ明らかにリスクの高いことが証明されているにもかかわらす、Letrozole群で無病再発期間(HR 0.31, p<0.0001)、現疾患の無病再発期間(HR 0.28, p=0.002)、生存率(HR 0.53, p=0.05)有意差をもって優れているということである。以上より今後は5年のTamoxifen治療をおこなってきた患者群でさらに引き続き Letrozoleの治療を提示する必要がほぼ確証された。(# 550 NCIC CTG MA17 Dr. Robert, Dr. Goss)

 

乳癌ハイリスクの健常女性に対する、Tamoxifenもしくは Raloxifen予防投与におけるQOL:

The study of Tamoxifen and raloxifene (STAR): First report of patient-reported outcomes (PROs) from the NSABP P-2 Breast Cancer Prevention Study. 19747人の乳癌ハイリスクの健常女性に対して無作為割付で、Tamoxifenもしくはraloxifene を予防的に投与することで、閉経女性の浸潤性乳癌の発症率は減少する(この発表にはデータは含まれていない)。今回のスタディではQOL調査を行い、 有意な差を認めなかったが、Tamoxifen群でホットフラッシュや婦人科系、泌尿器系症状などで若干劣っており、性生活への影響で若干優位であった。(# 561 NSABP Dr. Ganz)

 

General Poster Session

前治療歴のある再発乳癌へのixabepiloneの効果

Phese II trial of ixabepilone in patients with metastatic breast cancer that is resistant to an anthracycline, a taxane and capecitabine.
Adjuvantを含めて3種類以上治療を行ってきた36人の再発患者に対する、ixabepiloneの効果はORRで18.6%。IRFによる計算で11.5%、平均効果持続期間は約6ヶ月であった。主な有害事象は末梢神経障害で、これらは可逆的であった。(# 660 Dr. Thomas、MD Anderson Cancer Centerほか)