2009 年度 事業計画 PDF(日本語版) PDF(English)


1.国際公開研究会の開催

近年、乳癌の治療薬の進歩はめざましく、欧米では、死亡率の低下など治療成績の向上に関する報告が相次いでいます。一方、ハーセプチンなどの分子標的治療薬や新規化学療法剤のコストは膨大で、高額な薬剤費は医療費の高騰の要因となっています。
 米国で開発されたOncotype Dx は、ホルモン感受性陽性かつリンパ節転移のない乳癌患者の摘出組織より21 の遺伝子の発現レベルを測定し、再発リスクをスコア化し、化学療法の上乗せ効果があるか否かを特定します。これにより、従来のガイドラインからの適応に比べ、約30%の患者が無駄な化学療法を回避できたとする報告があります。一方、オランダで開発されたMammaprint も70 遺伝子の発現状況から、従来の基準より精度高く、高リスク群と低リスク群に分けることができます。化学療法を必要とする高リスク群を25%減らすことが可能との報告があります。本法は、2007 年2 月にFDA の認可を受けました。  これらの検査法は遺伝子レベルでの解析を必要とするため現時点では高額でありますが、低リスクであることが判明した場合は、薬物療法は不要となります。  オーダーメイド医療によって疾病の診断・治療方法が転換すると予測するものは多いが、この新技術が腫瘍学においてどういった影響をおよぼすかということは、正確にはまだわかっておりません。しかし目新しいターゲット療法が化学療法をしのいで標準治療となりつつあるなかで、腫瘍内にある特定の遺伝子を正確に示すことができるこの技術は、個別ケアへの流れにおいて非常に有益であります。
 個々の患者に対して最も治療効果が期待できる治療法を選別する、いわゆるPersonalized Medicineにおいて、特に遺伝子解析を用いた方法に着目し、乳がん治療の分野における実態を把握し、臨床および医療経済からも検討したいと考えます。

日 時:10 月18 日(日)9:30 〜 15:30(予定)
場 所:東京国際フォーラム ホールD5
主 催:NCCN・JCCNB 共催
テーマ:乳がん治療の効果予測検査法・現状と今後の展望 
〜 Oncotype DX とMammaprint 等の比較検討〜
対 象:医師・一般(ご関心のある方)
入場料:10,000 円

スピーカー:
<米国側>ーーーーーーーーーーーーーーー
Joan S. McClure(NCCN 副総裁)
Robert W. Carlson(スタンフォード大学 腫瘍内科 教授)
John H.Ward(ユタ大学 腫瘍内科 教授)

<日本側>ーーーーーーーーーーーーーー
中村清吾(JCCNB 代表理事 聖路加国際病院乳腺外科部長)
戸井雅和(京都大学医学部附属病院 乳腺外科長・教授)
藤原康弘(国立がんセンター 臨床試験・治療開発部長)

<Oncotype DX>ーーーーーーーーーーーー
Steve Shak (Chief Medical Officer of Genomic Health)

<MammaPrint>ーーーーーーーーーーーー
Laura vant'tVeer (Chief Research Officer and co-founder of Agendia)


画像をクリックすると別ウインドウで大きく表示されます。(PDFファイル)
English version is this one(PDF)

参加申込書へ

 

2.国際会議報告会(JCCNB セミナー)

欧米の国際会議にて取り上げられる重点項目を中心に会議の概略を報告します。

場 所:聖路加国際病院2 階 トイスラー記念ホール
時 間:10:00 〜 12:30
スピーカー:中村清吾(JCCNB 代表理事、聖路加国際病院乳腺外科部長)等
対 象:医師・一般(ご関心のある方)限定35 名
入場料:5,000 円

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
サンクトガレン・SSO 報告会   開催日:4 月11 日
( 第62 回米国外科腫瘍学会議・Premeeting Breast Cancer Workshop)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ASCO 報告会   開催日:6 月6 日
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
サンアントニオ報告会   開催日:12 月19 日
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

参加申込書へ

 

3.NCCN 乳がん診療ガイドラインの紹介

NCCN の協力を得て、NCCN が作成する米国の「乳がん関連ガイドライン」ならびに「補助療法に関する ガイドライン」を、そして、改訂版もそのつど翻訳し紹介します。

ガイドライン一覧 <HP 掲載済ガイドライン>
NCCN 乳がん関連ガイドライン  
・ 乳癌 (Breast Cancer)  
・ 乳癌のスクリーニング
・診断ガイドライン   
(Breast Cancer Screening and Diagnosis)
・ 乳癌リスク軽減(Breast Cancer Risk Reduction)
・ 遺伝的要因/家族歴を有する高リスク乳がん
・卵巣がん症候群  
( Genetics / Familial High-Risk Assessment: Breast and Ovarian)

NCCN 補助療法に関するガイドライン  
・ 成人がん性疼痛 (Adult Cancer Pain)
・ 悪心・嘔吐対策 (Antiemesis)  
・ がんおよび治療に伴う貧血 (Cancer-and Treatment-Related Anemia)
・ がん関連感染症の予防と治療 (Prevention and Treatment of Cancer-Related Infections )
・ 骨髄増殖因子 (Myeloid Growth Factors)  
・ 高齢者のがん治療 (Senior Adult Oncology)
・ がんに伴う倦怠感 (Cancer-Related Fatigue)
・ 静脈血栓塞栓症 (Venous Thromboembolic Disease)
・ 苦痛緩和医療( Palliative Care)
・ 精神的苦痛の管理 (Distress Management)

 

 

4.乳がん治療動向調査の実施

JCCNB HP を通じて(一部FAX により)、乳がん治療に携わる専門医等に対し、症例・治療法・使 用薬剤等に係るアンケート調査を行い、回答結果を取りまとめ、分析する。